
劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー 』が4月16日(土)遂に地上波初放送との事。
僕は本作が劇場公開時、映画館に8回通い、ブルーレイ発売時には初回限定盤を予約して購入し毎日観るほど、この作品に魅了された。
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戦闘民族サイヤ人同士の激しいバトルシーンが最大の売りとなっている作品ではあるが、この映画はそれだけではない。
ドラゴンボール原作者の鳥山明先生が脚本を書き下ろした本作には、タイトルに起用されているブロリーだけでなく、主人公の孫悟空をはじめとする様々な登場人物の、それぞれの親子関係が描かれており、時にせつなく、でも温かい、素敵な作品となっているのである。
以下、ネタバレをある程度含む内容となっているので、これから初めて鑑賞される方はご注意ください。

ブロリーと言えば我々世代には懐かしい、1993年の劇場版『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』に”伝説の超サイヤ人”として登場し、圧倒的なパワーで悟空たちを苦しめたアニメオリジナルキャラで、以後も劇場版で2度も復活した異例の人気キャラだ。
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往年のブロリーは、悟空(カカロット)と同じ日に惑星ベジータで誕生し、隣同士のベッドに寝ていたが、悟空の泣き声につられて泣いてしまったという赤ん坊の頃の記憶から激しくカカロットを恨んでおり、「カカロットォ~~!!!!!」と執拗に襲い掛かってくる様はまさに狂気であった。
伝説の超サイヤ人に変身して理性を失い、父親のパラガスを宇宙ポッドごと押しつぶして殺害するシーンは、あまりにも恐ろしすぎてもはやネタとして殿堂入りしているくらいだ。

ブロリー「どこへ行くんだぁ?」
パラガス「お、お前と一緒に避難するための準備だ」
ブロリー「一人用のポッドでかぁ?」
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当時の鳥山明先生はアニメは基本的にアニメスタッフに任せるべきというスタンスだったため、ブロリーのキャラクターデザインだけはしたものの、ストーリー等には関与しなかった。
時は過ぎて2018年、劇場版『ドラゴンボール超』の敵キャラとしてスタッフからブロリーを提案された鳥山先生は、ブロリーだけでなく、孫悟空の父親バーダック、また悟空とベジータの奇跡のフュージョンで誕生した合体戦士ゴジータと、アニメオリジナルキャラの中で特に人気の高いキャラクター達を「鳥山明原作」として描く事で「公式」として認知した形となった。
生きた時間軸の異なるキャラクター達だが、サイヤ人と因縁の深い宇宙の帝王フリーザを中心に物語を展開する事で、ひとつの作品の中に見事に描き切っている。やはり鳥山明先生は天才である。

映画冒頭は惑星ベジータのシーンから始まり、サイヤ人たちを支配していたコルド大王が引退し、息子のフリーザを後継者として紹介する。
コルド大王は自身が築き上げた地盤も地位も名誉も惜しげもなく息子に世襲し、また天才的な才能をもったフリーザを誇りに思っている。ひとつの親心だろう。
フリーザはそんな父親の手を冷たく払いのけるのだが。
フリーザの圧倒的な力にねじ伏せられながらも、サイヤ人の王であるベジータ王は、自身の息子ベジータ4世が計り知れない潜在能力を秘めて生まれてきた事に希望を見出しており、他の子どもたちとは違う特別な保育カプセルで大切に育てていた。
部下パラガスの息子ブロリーの潜在能力がもしかしたらベジータを上回るかもしれないと気づいたベジータ王は、ブロリーを辺境の星に飛ばしてしまう。
将来息子の地位を脅かすかもしれない芽を摘んでおく、これもまたひとつの親心。
結果論として、過酷な星で40年も生き延びたブロリーとパラガスが地球まで復讐に来てしまい、何も知らないベジータに襲い掛かってくる訳だが。
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カカロットの父バーダックの他、今回アニメで初めて描かれるカカロットの母ギネも注目を集めた。
バーダックとギネが惑星ベジータ消滅直前に息子カカロットを宇宙ポッドで地球に逃がすシーンは、鳥山先生の『銀河パトロール ジャコ』という漫画に特別収録された漫画をもとに映像化された。
一緒に逃げるとスカウターで見つかってしまうため赤ん坊のカカロットだけを一人で逃がしたバーダックとギネ。この切なすぎる親心に世界中が感動したが、これがまだ映画の序章である。

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周知のように地球に到着したカカロットは頭を強打して記憶を失ってしまい、地球人・孫悟空として生きる事になる。
その後地球を訪れた兄ラディッツにより自身がサイヤ人である事を知るが、あくまでも過去を思い出した訳ではない。
天真爛漫でいつも明るい悟空の、本人も気づいていない影の部分は、バーダックとギネの温かい親心を忘れてしまっている事だ、という事に本作で気づかされる。
そして舞台は一気に現代となり、フリーザの策略で地球にやってきたパラガス&ブロリー親子の復讐がはじまる。
ここで往年のブロリーとまったく異なるのは、ブロリーはカカロットに何の恨みもなく、知りもしない。恨んでいるのは自分たちを粛正しようとしたベジータ王の息子であるベジータであり、迷いなくベジータに襲い掛かる。
往年の『燃えつきろ!!~』では「もうダメだぁ、、、おしまいだぁ、、、」と伝説の迷言も残しつつヘタレていたベジータだが、本作ではかっこよくブロリーと激闘を繰り広げる!!
本作は、すっかりバーゲンセール化して誰も何とも思わなくなってしまった「超サイヤ人」を改めてかっこよく描いてくれている点がポイント高い。
金髪に変身したベジータに恐れおののくパラガス。黒髪の時より明らかにパワーアップした事がわかる演出もカッコイイ!
しかし天才的な格闘センスを持つブロリーが、ベジータとの戦闘を通して成長してしまい、ベジータは「超サイヤ人ゴッド」に変身する。
ゴッドに変身するシーンも、従来の超サイヤ人とは別系統の進化(人間の気ではなく「神の気」をまとった異次元の強さ)である事が伝わる演出が光る!
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ベジータの強さを正当に評価し、かっこよく描いてくれているのがファンとしてとても嬉しいが、皮肉にもこのベジータとの戦闘によってブロリーがみるみる成長してしまい、悟空&ベジータのタッグバトル、さらにはとっておきのあの技まで、互いに全力を尽くしてのスーパーバトルへと発展していく。
そして、映画最後の悟空のセリフ。
同じサイヤ人のブロリーとの闘いの中で、悟空自身のサイヤ人の記憶。
あの日のバーダックとギネのぬくもりを、ふと思い出したのかもしれない。
