
TBSドラマ『石子と羽男』も大好評なさだまさし師匠、全国ツアー『孤悲』が個人的に最高のセットリストなので熱く語りたいところですが、ネタバレ感想はツアー終了後のお楽しみという事で、今回はアルバム『孤悲』の感想を。


2022年6月1日に発売された最新アルバム『孤悲』。
「ひとり悲しみ、心が張り裂けそうだ」という意味の「孤悲」と書いて「こい(恋)」と読むのはさださんの造語ではなく万葉集からの引用。
人との接触を制限されたコロナ禍での人々の心を表現するのに『孤悲』はまさにぴったりなタイトルだ。
![]() | 価格:3,850円 |

コロナ禍やウクライナ情勢など、「いま」を歌ったさだまさし流フォークロック。
全曲素晴らしいが、1曲目に置かれた表題曲『孤悲』がいきなり珠玉の名曲!
さだまさしの泣けるバラードはたくさんあるけれど、『孤悲』は近年でも特にグッと来る1曲かも。「たまゆらの」など万葉集的な美しい大和言葉を遣いながら今の僕らの心の体温に寄り添ってくる、さださんの魅力が詰まった名曲!
アルバム1曲目で完全に『孤悲』の世界観に引き込まれたリスナーに、エレキギターでロックナンバー『抱擁』や、形式はフォークソングだがロック魂全開の『キーウから遠く離れて』など、これでもかと渾身のさだまさしを聴かせてくる。今、歌いたいメッセージを強くこめた歌詞と、カッコイイ大人のロック演奏が渋い。
2020年4月10日のバースデー配信ライブで披露し話題となった『緊急事態宣言の夜に』も収録。ライブ配信では弾き語りだったが、アルバム収録にあたって格好いいロックアレンジに進化している。まだコロナが何か分かっていなかった当時とは「緊急事態宣言」に対する考え方も変わっているとは思うが、「当時」を刻み込む意味であえて歌詞を変えずにそのまま歌っている。あの当時、コロナや緊急事態宣言をこれほど的確に表現した人は他にいなかったと思う。
![]() | 緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020 [ さだ まさし ] 価格:1,320円 |


ダイキンのタイアップ曲『風を贈ろう』は癒し系で、エレキロックがちなアルバムの中でほっとする1曲。コンサートでおなじみのバンド「さだ工務店」でレコーディングされており、コーラスがとても心地よい。
炎天下でも日陰のような涼しさ♪【ラディ クール】
さだまさしと言えば「ドラマティック・マイナー」だと思っているオールドファンも多いが、今回は『鷽替え』がそれに当たる。「替えましょ、替えましょ」というリフレインが印象的な曲。往年の『飛梅』『都府楼』に続く太宰府天満宮の歌である。もちろん超絶カッコイイ♪
また、さだまさしのアルバムラスト曲は壮大なバラードだと思っているオールドファンも多いが、今回も締めくくりは『歌を歌おう』というバラードだ。
2021年の日本テレビ「24時間テレビ」の企画でさださんが作詞作曲しMISIAさんのボーカルと紀平凱成さんのピアノで披露された楽曲。アルバムではさださん本人の歌で収録。
2番の歌い出し「止められる筈もない夢を 止めるのはいつでも私だった」という歌詞が、すごい歌詞だと思う。
アルバムとしての構成も完璧だ。色々な曲調の楽曲を取り揃えていながら、アルバム全体のサウンドが違和感なく統一されており、何度でも繰り返し聴きたくなる。
「詩先」でも「曲先」でもない「ドラ先」で曲作りを進めた(まずドラムから曲を作った)とか、さださん自身がエレキギターを弾くとか、70歳を過ぎてなお新しい試みに満ちているのも凄い。
コンサートも最高だったので、是非映像作品化してほしい!!
さだまさしコンサートツアー『孤悲』、ここ数年のツアーの中でも特に最高のコンサートだと思う!!
